漫画「チェンソーマン」
主人公のデンジくんは情弱で、大人に搾取されていて、
膨大な借金を背負わされている。返しても返しても減らない、
死んだお父さんの借金をけなげに返し続けている。
とてもいい子なんだ。
このチェンソーマンという漫画、冒頭が秀逸で最初の1ページで物語に引き込まれる。
“普通”なんて夢の話だというデンジくん。
「何も金持ちになりたいんじゃねぇ、普通の生活がしたいだけだ」
デンジくんの言う”普通”は、食パンにジャムを塗って 食べることだ。
とてもつつましくて素朴で、美しい表現だと思う。
ちいさな灯火のような憧れに、ふだん見逃してしまうような気づきをわけてもらった。
自分は普通の生活ができている、幸せだと。
「なんで十分恵まれてんのに、もっと良い生活を望んだ?」
「みんな夢見ちまうんだなぁ」
そうなんだ、もっと良い生活を望んでしまう。
しかも私の思う「普通の生活」はデンジくんのそれよりずっと贅沢だ。
何もお金持ちになりたいんじゃなくて、普通の生活がしたいだけ。
私もそう思ってたし、ほかにもそう思ってる人は多いと思う。
私の姉は、老後の不安について話をすると「つつましく暮らしていければいい」って言うし
「普通に健康に暮らせたらいい」と言っている人を見たことがある。
でも、具体的に想像してみると「普通の生活」って実は「理想の生活」で、
それがいかにお金がかかるかと思うと、まあ途方にくれる。
でもねぇ、夢見ちまうんだよねぇ。



コメント